キックボクシングのファイトマネーは高い?元日本チャンピオンが解説

 

キックボクシングのファイトマネーっていくらくらいなの?

毎日きつい練習をし、試合前は過酷な減量、試合後は大きなダメージも残ることのあるキックボクシング。

ここまでして得られるファイトマネーはいくらくらいなのか知りたい方も多いのではないでしょうか。

この記事では、元キックボクシング日本チャンピオンの僕が「キックボクシングのファイトマネー」について解説します。

 

キックボクシングのファイトマネーは5パターン

 

まずはファイトマネーの種類について説明します。

ファイトマネーには主に下記の5パターンかあります。

ファイトマネーの種類

  1. 現金
  2. チケット
  3. 現金&チケット
  4. チケットバック
  5. 激励賞

 

現金

現金は言葉どおり、現金をもらうパターンです。

たとえば、ファイトマネー10万円だとしたら10万円を現金でもらえます。

問題なく試合が行われれば、試合後に規定の金額が振り込まれます。

 

よく勘違いされている方がいるのですが、ファイトマネーは試合の勝敗に関係ありません

ファイトマネーは試合に対する契約金なので、体重オーバー、反則行為などがなければ勝敗関係なくもらえます。

 

あえて言うなら、勝敗が反映されるのは次の試合のファイトマネーです。

「あいつは強い!」「あいつは面白い!」とお客さんを呼べる選手になればなるほど、必然的にファイトマネーは高くなります

 

チケット

ファイトマネーをすべてチケットでもらうパターンです。

選手がチケットを手売りしないといけないため、現金でもらうよりもファイトマネーは高くなる傾向があります。

たくさんチケットを売れる選手はWin-Winなのですが、チケットを売れない選手の場合、ファイトマネーは最悪0円です。

 

僕は地方から東京まで行って試合していたこともあり、関東に知り合いは少なく、チケットをあまり売れなかったため、ファイトマネーはすべて現金でお願いしていました。

 

現金&チケット

ファイトマネーを現金とチケットでもらうパターンです。

イベント側がチケットの売れ残りを防ぐ為にこういったことが行われることがあります。

 

チケットバック

ファイトマネーでもらったチケットをすべて売っても、まだ買い手がいるという状況はよくあります。

その場合、選手は定価よりチケットを2〜3割引の値段で買うことができ、チケットを定価で売った差額分をもらうことができます。

そのため、チケットをたくさん売れる選手はファイトマネー以上に稼げる可能性もあります。

 

これはイベント主催者側にとっても大きなメリット。

実力はないけど、よく呼ばれる選手っていますよね?

それはこんなカラクリがあったわけです。

 

激励賞

応援してくれている会社、知人、ファンの方がイベント側に渡し、リングで選手に渡されるお金です。

「〇〇選手には△△様より激励賞が届いております。」なんてアナウンスされていますよね。

金額は人によりバラバラですが、僕はだいたい1〜5万円が包まれていました。

 

ジム側のファイトマネーの取り分は30~50%

 

ファイトマネーが大きくなってくると、一部を所属ジムに対して、マネージメント料として納めるのが基本です。

支払い方や金額はジムにより差がありますが、大体30%です。

ただし、地方の選手になるとセコンドの旅費代なども必要になるため、50%になることもあります。

 

キックボクシングのファイトマネー

 

前置きとして言っておくと、ファイトマネーは団体により異なります。

僕の経験や他の団体の選手から聞いた話をもとにおおよその値段を紹介します。

日本ランカー外 約0〜3万円
日本ランカー下位 約5〜10万円
日本ランカー上位 約10〜20万円
日本チャンピオン 約20〜70万円
世界チャンピオン 約100〜500万円

 

まずの日本ランカー外のファイトマネーは、約3万円です。

デビュー戦クラスだとファイトマネーがない場合もあります。

僕は日本ランカーとやる5戦目くらいまでファイトマネーは0円でした。

 

そこから勝っていき、日本ランカーとの勝負に勝てばだいたいランキング入りできます。

最初はもちろん下位からですが、ファイトマネーは約5〜10万円にアップします。

上位になると約10〜20万円です。

 

上位ランカーになり、タイトルマッチに勝つとチャンピオンになれます。

チャンピオンになるとファイトマネーは約20~70万円です。

タイトルマッチでは値上がりすることもあります。

世界タイトルを制定している団体は少ないのですが、世界チャンピオンで約100〜500万円です。

 

ただし、話題性があったり、人気のある選手はこの相場よりも高くなることがあります。

僕が聞いたことのある選手では日本チャンピオンで約300万円でした。

 

そのほか、トーナメントなどはファイトマネーとは別で優勝賞金300万円や1,000万円を用意していることもあります。

トラッシュトークで盛り上がった選手同士が「ファイトマネーを賭けようぜ!」と総取りマッチになることもあります。

 

また、近年では海外での試合も人気です。

日本ランカー上位程度でもファイトマネー300万円という金額を出す団体もあるそうです。

しかも、食事代として毎日6万円ほどキャッシュでもらえるんだとか。

海外は日本よりも格闘技が盛んで企業からのスポンサー料も多いため、金払いがいいんですね。

もしキックボクシングでお金を稼ぎたいなら、「日本チャンピオン→海外の団体との契約」という流れが今のところ現実的でしょう。

 

キックボクシングのファイトマネーだけで生活するのは厳しい

 

先述したようにファイトマネーだけで生活するのは一部のトップを除き、ほぼ不可能です。

僕も日本チャンピオンになりましたが、仕事を辞めることはできませんでした。

 

キックボクシングだけで生活している選手の主な収入源はスポンサー料が大きいと思います。

スポンサー料は人それぞれですが、「試合ごとに契約するパンツスポンサー」や「年間スポンサー」があります。

スポンサーがつくとお金に余裕はできるのですが、付き合いが多くなり、正直めんどくさいのも事実。

そのため、僕もスポンサーの話は何件かあったのですが、個人的に仲のいい人以外の会社はお断りしてました。

 

キックボクシングのプロとして活躍している選手のほとんどがアルバイトや仕事をしており、日本チャンピオンの選手でさえ、家族を養うほどの収入はありません。

一方、ボクシングの市場は大きく、世界チャンピオンになるとファイトマネーは1000万円を超えますし、防衛を重ねたり、人気選手になれば億になることもあります。

那須川天心選手や武居由樹選手がキックボクシングからボクシングに転向するのも納得ですよね。

 

まとめ

 

今回は、キックボクシングのファイトマネーについて解説しました。

キックボクシングのファイトマネーだけで生活できている選手はほとんどいません。

これからのファイトマネーがどうなるかは分かりませんが、今のところ格闘技で大きく稼ぎたいならボクシングのほうがいいでしょう。

選手は怪我で試合ができない期間もありますし、怪我や体力の衰えで引退することだって十分にありえます。

いつ引退しても生活できるくらいの収入を稼げる業界にまで大きくなると夢が広がりますね。

これからキックボクシングで頂点を目指す選手たちが夢を持てる業界になることを願っています。

 

それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。

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