
筋トレが続かないんだけど、私の意志が弱いのかな?
筋トレは身体的、精神的健康が高まり、人としての魅力も高めることができます。
しかし、ジムなどで筋トレを始めた人のなかで1年間続けられる人は、わずか4%に満たないのが現実。
これほどの恩恵をもたらすにもかかわらず、なぜ多くの人が筋トレを続けることができないのでしょうか?
この記事では、筋トレが続かない理由について紹介します。
なぜ筋トレが続かないのか?
なぜ人は健康でいたいと思いながらも、家でゴロゴロしてしまうのでしょうか?
ハーバード大学の心理学者であるダニエル・リバーマンは、筋トレが続けられない理由を次のように述べています。
「そもそも、ヒトは筋トレするようにはデザインされていない」
ヒトは約200万年というとてつもなく長い旧石器時代に身体と心を適応させ、進化してきました。
ヒトは生き延びるために、少ない摂取エネルギーを狩猟や生殖活動へ優先的に使用し、それ以外の余暇の時間は極力、エネルギーを使用しないように最適化され、進化したのです。
そして現在は狩猟しなくとも食糧に困ることはありませんし、毎日長い距離を走ることもありません。
しかし、私たちの身体と心は長い石器時代のままこう語りかけてくるのです。
「無駄なエネルギーを使わないように、ゴロゴロしよう」
これが、現代の進化論が明らかにしたパラドックスの答えであり、筋トレが続かない理由なのです。
筋トレが続かないのは、私たちの意思ではなく、自然で生理的な反応だったということです。
さらに、近年の脳科学の研究では、座ったりゴロゴロ寝転んで休むときに脳の報酬系が活性化すると示唆しています。
これは、ゴロゴロすることが生存にとって必要な行為であると脳が判断していることを意味しています。
つまり、脳科学の知見からも、ゴロゴロしたいという欲求は食欲などと同じように「正常なこと」なのです。
身体と心に筋トレを続けさせるには?
では、ゴロゴロすることによる報酬を回避し、ジムに行くためにはどうすれば良いのでしょうか?
この問いに脳科学は「ドーパミンを利用すること」を提言しています。
ドーパミンは脳の報酬系をドライブする神経伝達物質です。
ドーパミンの放出を促進できればゴロゴロによる快楽を遮断できるはずです。
では、どうやってドーパミンを放出するのでしょうか。
それは、「立ち上がって、歩き出す」ことです。
姿勢を変え、歩き始めることにより、ドーパミンが放出されることが動物実験により推察されています。
そして、歩き始めたら、何か小さな目的を達成するようにしましょう。
たとえば、荷物の準備をする、コーヒーを淹れる、トイレに行くなど、小さな目的を遂行するようにします。
なぜなら、目的を達成するとドーパミンの放出がさらに促進され、行動覚醒が強化されるからです。
あなたも少し掃除を始めたら、スイッチが入ったように色んなとこまで掃除してしまったという経験はないでしょうか?
立ち上がり、歩き出すことでドーパミンの放出を高めて行動覚醒を生じさせ、その後に小さな目的を達成することでさらに強化させる。
これによりゴロゴロしたいという欲求を遮断し、ジムに行こうという衝動を活性化できるのです。
これが脳科学としての「ドーパミン利用法」です。
まとめ
今回は筋トレが続かない理由について紹介しました。
そもそも人間は生きていくために必要な行動以外はしないようデザインされています。
つまり、筋トレをせずゴロゴロしていたいというのは正常なことなのです。
ジムに行くためには、立ち上がって歩き出し、小さな目的を達成するという方法が脳科学の点から有効とされています。
僕も全くトレーニングをしたくない日もありますが、とりあえずジムに行くと決めています。
「トレーニングを始めても、モチベーションが上がらなければ帰宅しよう!」と思ってジムに行くのですが、大抵なんだかんだトレーニングできています。
やる気はあとから付いてくるのです。
「さぁ、やるぞ!」とならなくても「なにも考えずとりあえずジムに行く」という精神でいいのかもしれませんね。